外国為替についての基礎知識
外国為替市場は世界最大の金融市場です。昼夜を問わず、24時間、世界のどこかで外国為替市場は開いています。
ニージーランドのウエリントン市場で始まり、オーストラリアのシドニー市場、次いで日本の東京市場が活発になります。
その後、アジアからヨーロッパ市場に移り、ニューヨーク市場へと移行します。そして、翌日にはウエリントン市場に戻るというサイクルを繰り返しています。
外国為替の取引は、世界中の銀行・証券会社等の金融機関が電話やインターネット等を使って行っており、外国為替取引所というものは存在しません。
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世界の通貨
現在、世界には240以上もの通貨があると言われています。その中で、世界の外国為替市場で頻繁に売買されている流動性がある通貨と、あまり流動性がない通貨が存在します。
流動性のある通貨をハード・カレンシー(Hard Currency)と呼び、流動性のない通貨をソフト・カレンシー(Soft Currency)と呼びます。
ハード・カレンシー(Hard Currency)は、金本位制が採用されていたころは、いつでも自由にハード(金)に変換可能な通貨をさしていたようです。
米ドル、日本円、ユーロ、英国ポンド、スイス・フランなどは頻繁に売買されていることからメジャー・カレンシー(Major Currency)ともいわれています。
通貨 | 略語 |
---|---|
日本円 | JPY |
米ドル | USD |
ユーロ | EUR |
英ポンド | GBP |
豪ドル | AUD |
スイスフラン | CHF |
カナダドル | CAD |
ニュージーランドドル | NZD |
香港ドル | HKD |
韓国ウォン | KRW |
中国人民元 | CNYCNH |
シンガポールドル | SGD |
南アフリカランド | ZAR |
外貨商品の種類
現在、外貨に投資する商品はたくさんありますが、ここでは代表的なものを紹介したいと思います。
外貨預金 (定期預金) |
外貨建てMMF |
外国証拠金取引(FX) | |
---|---|---|---|
取引時間 | 営業時間内 | 営業時間内 | 24時間対応 |
為替手数料 | 1米ドルの場合、往復2円程度 | 1米ドルの場合、往復1円程度 | 1米ドルの場合、往復10〜40銭程度 |
取引 | 買いのみ | 買いのみ | 買い/売り |
取引期限 | 数ヶ月単位 | 特になし | 事実上期限なし |
金利/スワップ金利 | 数ヶ月単位 | 解約時の支払い | 毎日発生 |
外貨預金
外貨預金は円を外貨に替えて預け入れる預金のことです。私たちが普段使い慣れている円建て預金と同様に、「普通預金」「定期預金」「当座預金」などがあります。
現在のように日本国内の金利が低い時に、円預金より高い水準の金利で運用できます。
金利の他にも、為替レートが預け入れた時よりも円安になれば、その分の為替差益が得られます。逆に為替レートが預け入れた時よりも円高になれば、マイナスになります。
外貨建てMMF
外貨MMFのMMFとはマネー・マーケット・ファンドの略で外貨建ての債券で運用される投資信託です。
高い格付けの債券やCD(譲渡性預金証書)などを中心に組み込まれており、株などは組み込まれていません。安全性を高めた商品といえます。
満期がなくいつでも解約できる換金性の高さから、他の外貨建て金融商品の購入資金となる外貨を一時的に預けたり、受け取った償還金や売却代金を外貨のまま受け入れたりと、非常に利用価値が高い商品です。
外国為替証拠金取引(FX)
外国為替証拠金取引とは、一定額の証拠金(保証金)を担保とすることにより、証拠金の数倍〜数百倍の資金を使って外貨取引を行うことです。
基本的には外貨預金、外貨建てMMFと同様、為替差益と金利差を狙った投資商品です。
「手数料の安さ」「レバレッジ」「多様な収益機会」などの特徴があります。
手数料の安さ
外国為替証拠金取引の為替手数料は外貨預金の数十分の1程度です。最近では無料の会社も出てきました。
レバレッジ
レバレッジとは、直訳すると「てこの原理」という意味になります。一般的に外国為替証拠金取引では手持ちの資金よりも多い金額で取引できることを指します。
多様な収益機会
外貨預金や外貨建てMMFでは円安でしか、差額による収益を狙うことができません。
しかし外国為替証拠金取引では、円を売って外貨を買うことはもちろん、円を買って外貨を売ることもできるようになっています。
つまり、円高になった場合、外貨預金や外貨建てMMFでは必ず損失が発生しますが、外国為替証拠金取引では円安になった場合でも利益を狙うチャンスがあります。
外貨預金 VS 外国為替証拠金取引
実際に外貨預金と外国為替証拠金取引では手数料と金利にどのくらいの差がでるのか検証してみましょう。
ここでは、高金利通貨の代表であるオーストラリアドル(豪ドル)で試してみたいと思います。
前提条件としては、1年間1万豪ドルに投資を行います。
為替レートは
購入時:1豪ドル=100円 解約時:1豪ドル=100円
とします。(為替差益は発生しない)
※税金などのコストは省略しているのでだいたいの目安としてご参考下さい。
外貨預金の場合
【豪ドル購入時】10000豪ドル×102円(TTS※)=1020000円
【金利】10000豪ドル×6.3%=630豪ドル
【豪ドル解約時】(10000+630)豪ドル×98円(TTB※)=1041740円
【運用利益】1041740円−1020000円=21740円
【運用利回り】21740円÷1020000円≒2.13%
※TTSはTelegraphic Transfer Selling rateの略で、対顧客電信売相場を意味しています。銀行が顧客に対して外貨を売る(円を外貨に交換する)時に用いられる為替レートです。
TTBはTelegraphic Transfer Buying rateの略で、対顧客電信買相場のことです。 銀行が顧客に対して外貨を買い取る(外貨を円に交換する)時に用いられる為替レートです。
この場合、売買するときに1豪ドル=100円に対してそれぞれ2円の手数料が発生していることになります。ここが銀行の大きな収入源となっています。
外国為替証拠金取引(レバレッジ1倍※)
【必要証拠金】10000豪ドル×100円=1000000円
【豪ドル購入手数料】10000豪ドル×5銭=500円
【金利(スワップ)】365日×187円=68225円
【豪ドル売却手数料】10000豪ドル×5銭=500円
【運用利益】68225円−1000円=67225円
【運用利回り】67225円÷1000000円≒6.72%
※レバレッジ1倍の場合、外貨預金と同様の条件になります。レバレッジを2倍・3倍にすると運用利回りも2倍・3倍になります。購入通貨にもよりますが、金利目的の購入ならば3倍以下が望ましいとされています。
同じ豪ドルに投資でも運用利益や運用利回りにかなり差があることが分かります。
このように外国為替証拠金取引は外貨預に比べて、手数料・金利が圧倒的に優れた金融商品となっています。